山陽新幹線の減便への壁と妥協案をダイヤの特徴から考える
こんにちは。
今回は、山陽新幹線についてです。
その会見の中で、
「山陽新幹線」や「はるか」などについては、今後のご利用状況を注視しながら、運行計画の見直しについて、関係する会社も含め検討を進めています。
出典:JR西日本ホームページ:4月社長会見:最近の営業・輸送概況、現下の状況を踏まえて(https://www.westjr.co.jp/press/article/2020/04/page_15994.html)
と触れられており、「進めています」と断言しているため、減便されるのは確実的かと思います。
しかし、山陽新幹線の減便には、東海道新幹線と比べて停車駅パターンが一定でないことなど、ダイヤ上の制約だけでも色々制約があります。
そこで、山陽新幹線の減便に立ちはだかりそうな条件を洗いだし、見ていこうと思います。
基本的には、下りを基準に見ていきます。
※今回は、車両運用や乗務員の行程の制約は考えないことにします。
1.大まかなダイヤのパターン
ここでは、山陽新幹線のダイヤについて簡単に整理します。
まず、大まかには、3つの運行形態に分かれます。
①東海道直通(16両のみ)
②九州直通(8両のみ)
③山陽完結(8、16両)
表記の通り、形態により車両数の制約があります。
次に、種別と運行区間を見ます。
時間帯によって、異なる場合もありますが、基本的なパターンは以下のようになっています。
3本:のぞみ①
1~2本:みずほ、さくら②
1~2本:ひかり(山陽内各駅停車)②、こだま③
新大阪駅の日中は大体この時刻表になっています。
2 のぞみ 博多①
6 さくら 鹿児島中央②
23 のぞみ 広島①
38 のぞみ 博多①
59 ひかり 岡山①
夕方になると、上に加えて、
6 さくら→みずほに変更
18 さくら 鹿児島中央②
32 こだま 博多③
が加わるのが基本的です。
※18分発は、23分発に福山で抜かれる場合あり
①と②が中心的で、③は夕方などのこだま以外存在しません。
すなわち、両数の変更は行えません。
新大阪駅で系統を分割してという考え方もありますが、そこまではしないのではないでしょうか。
2.優等列車の停車駅
ここでは、のぞみやみずほなど通過駅の多い列車を便宜上優等列車と置きます。
山陽新幹線には、全列車停車駅が新大阪、新神戸、岡山、広島、小倉、博多の6駅あります。
これ以外に、のぞみが停車する駅として、姫路、福山、徳山、新山口の4駅があります。(西明石は西明石発と最終間際の下り1本のみなので除外)
※さくらが停車する駅として、新下関があります。
日中の優等列車の本数は、
新大阪~博多:3本
新大阪~広島:4本
です。
つまり、全列車停車駅の有効本数は、新大阪側から見て、広島までは有効本数4本、博多までが3本です。
では、一部停車駅の4駅はどうなのでしょうか。簡潔に傾向を書いていきます。
姫路駅
大半の新大阪23分発ののぞみが停車します。
18分発のさくらの停車も多いです。
優等列車の停車本数は概ね1~2本です。
大半の新大阪38分発ののぞみが停車します。
また、さくらが全列車停車します。
優等列車の停車本数は概ね2~3本です。
時間帯により異なりますが、新大阪2分発ののぞみの停車が多めです。
優等列車の停車本数は概ね0~2本ですが、3時間程度空く時間帯もあります。
新大阪2分発ののぞみの停車が多いです。
徳山駅に止まらない2分発はこちらに停車するパターンが多いです。
さくらの停車も比較的多く、優等列車の停車本数は概ね0~2本です。
以上より、3本あるのぞみは、姫路、福山、徳山・新山口の3つの停車駅群より、それぞれ1つ選択し停車していることが分かります。
つまり、特定の時間発(毎時〇〇分といった形)で減便すると、特定の駅ののぞみの停車が一気に減少することを意味します。
新大阪→岡山・広島では4本中の1本の減便でも、新大阪→新山口では1本中の1本が減便ということが普通にあるのです。
3.これらを踏まえた妥協案は?
これまで述べてきたことより、定期列車の減便にはハードルがあることが分かりました。
このような事情から、「予定されていた臨時列車の全列車運転取りやめ」を超えることはないような気がしています。
ただ、JR九州では土休日に限りですが、定期列車のつばめを減便しているので、可能性はあります。
それでは、仮に定期列車を減便するとなると、どの便がまだ一番影響少なく、現実的かを考えてみます。
ここからは、完全に個人の考えになりますので、その点をご了承の上で読み進めてみてください。
初めに、毎時1本程度である九州直通や各駅に停車する列車の減便はされないと思います。
利用状況で言うと、こだまなどの各駅に停車する列車は元々利用が限られており候補になりますが、他に削った場合の救済が行いにくくなる点や、2時間に1本になる駅が出てくるため、対象から外れると思います。
となると、やはりのぞみが対象になると思います。
のぞみは16両であることから、輸送力の適正化にも繋がります。
優等列車の一部停車駅を考慮せずに言うと、毎時2分発が筆頭候補でしょうか。
4分後に九州直通が出ており、全列車停車駅間における既存の運転間隔に与える影響が最小限で済みます。
しかし、この場合徳山や新山口へののぞみの停車がほぼ消滅してしまいます。
なので、38分発を徳山や新山口に臨時停車させて対応が一番現実的な線なのかと思います。
非常事態とは言え、元から停車列車がある駅に東京や名古屋から直通で行ける列車がほぼ無くなる点は問題になる気がします。
他にも、
・こだまやさくらへの乗り継ぎで対応(停車駅の変更なし)
・毎時一定の減便ではなく、のぞみの通過を分散させるため、2、23、38発をバラバラに減便
なども考えられますが、前者はやはり直通がなくなる点、後者は案内がややこしくなる点がネックになるでしょうか。
4.全体の感想
山陽新幹線のダイヤは複雑であり、限られた本数の中で様々な需要に応えようとしているような印象を受けました。
そのため、単純に輸送力を何割減らそうといった形で簡単に減便出来ない路線であると改めて感じました。
また、妥協案の方では、今回こだまとの連絡の都合などをあまり見ていないので、考慮しきれていない点も多くあろうかと思います。
終盤はほとんど私の考えと予想でしたが、最後までお読みいただきありがとうございました。